自己効力感

自己効力感とは

自己効力感とは、「見込みのある状況を管理するために必要な行動方針を組織し、実行する自分の能力に対する信念」です。

自己効力感は、特定の状況で成功するための自分の能力に対する人の信念のことでこのような信念は、人がどのように考え、行動し、感じるかを決定する役割を担っています。

バンデューラが1977年に代表的な論文「自己効力感」を発表して以来、このテーマは心理学で最も研究されているテーマとなっています。

なぜ、心理学者や教育者の間で自己効力感がこれほどまでに重要なテーマになっているのでしょうか。

バンデューラや他の研究者が実証しているように、自己効力感は、心理状態から行動、モチベーションに至るまで、あらゆるものに影響を与えることができます。

自己効力感は、私たちがどのような目標を追い求め、どのようにその目標を達成し、どのように自分のパフォーマンスを振り返るかを決定します。

自分が成功できると信じるかどうかは、考え方や行動、そして世界における自分の居場所についてどう感じるかに関わってくるのです。

本家記事:自己効力感とは

自己効力感と自尊心の比較

自己効力感は自尊心と混同されることがありますが、両者には重要な違いがあります。

自己効力感とは、さまざまな状況で成功するための自分の能力について感じることであり、自尊心とは自分自身の価値や価値を尊重することを指します。

研究により、自己効力感は自尊心を予測することが示唆されています。

つまり、自己効力感が高い人は自尊心も高く、その逆もまた然りという傾向があるのです。

自己効力感はどのように育つのか?

私たちは、幼児期にさまざまな経験や課題、状況に対処することで、自己効力感を形成し始めます。

しかし、自己効力感の成長は青年期に終わるものではなく、新たなスキルや経験、理解を得ることで生涯を通じて進化を続けていきます。

1 バンデューラは、自己効力感の源泉を大きく4つに分類しています。

自己効力感を達成する方法として、習得体験、社会的モデリング、社会的説得力、心理的反応の4つを挙げています。

習得体験

バンドゥーラは、「強い効力感を育む最も効果的な方法は、習得体験である」と説明しています。

課題を成功させることで、自己効力感は強まります。

しかし、課題や問題に対して適切に対処できなかった場合は、自己効力感を損ない、弱めることになります。

社会的モデリング

他人がうまく課題をこなすのを目撃することも、自己効力感の重要な源泉となります。

バンデューラによると「自分と似た人が持続的な努力によって成功するのを見ると、観察者は自分も同等の活動をマスターして成功する能力を持っているという信念を高める」とされています。

社会的説得力

また、バンデューラは、人は「自分には成功するためのスキルや能力がある」と信じ込まされる可能性があると主張しました。

あなたが目標を達成するために、誰かが前向きで励みになるようなことを言ってくれた時のことを考えてみてください 。

このような励ましの言葉は、自信のなさを克服し、目の前のことに全力を尽くすことにつながります。

心理的対応

また、状況に対する私たち自身の反応や感情的な反応も、自己効力感において重要な役割を担っています。

気分、感情状態、身体的反応、ストレスレベルなどはすべて、特定の状況における自分の能力について人がどう感じるかに影響します。

人前で話す前に極度に緊張する人は、そのような状況で自己効力感が弱くなる可能性があります。

しかし、バンデューラは「重要なのは、感情や身体反応の強さではなく、それらがどのように知覚され解釈されるかである」とも述べています。

困難な課題に直面したとき、ストレスを最小限に抑え、気分を高揚させる方法を学ぶことで、人は自己効力感を向上させることができます。

自己効力感はいつ、どのように育つのか?

私たちが自分の自己効力感を評価するのは、何もないところで作られたものではありません。

周囲の人たち(例えば、両親や友人など)は、私たちの自己効力感の認識に大きな影響を与えます。

自己効力感は、非常に幼い子どもから発達し始めます。

自己効力感は一度形成されると一定ではなく、生涯を通じて様々な経験をすることで変化し、成長していきます。

成長段階によって以下の特徴があります。

・子どもが幼いうちは、親の自己効力感が重要である
・親の自己効力感が高い親の子どもは、親が自分のニーズによく応えてくれると認識する
・12歳から16歳頃、青少年の友人もまた自己効力感の信念の重要な源泉となる
・学業に熱心でない仲間と付き合う青年は、学業的自己効力感が低下する傾向がある ・仲間の成功を見ている青年は、学業自己効力感の上昇を経験する これは、上述したように、代償的なパフォーマンスによって自己効力感を獲得している例です。

青年期に発達する自己効力感の効果は長期にわたるます。

ある研究では、14歳から18歳において測定された社会的・学問的自己効力感が大きいほど、5年後の生活満足度が高いと予測されました。

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