tedukurikotoba (2563)

嚢中の錐

【漢字】嚢中の錐 【読み】のうちゅうのきり 【意味】嚢中は袋の中。袋の中にきりを入れておくと袋を破って刃先が見えてくることから、優れた者は隠れていても自然に才能を現すものである。 【例文1】彼はコネも使わずに入社したのに先輩よりも出世が早かった。まさに嚢中の錐だ。 【例文2】運動神経が良い彼は中学からサッカーを始めたが、嚢中の錐ですぐレギュラーに選ばれた。 【例文3】はっきりした顔立ちは化粧映えする嚢中の錐だ。 嚢中の嚢は袋のこと。「本当に才能がある人は内に秘めていてもたちまち外に現れるものだ」という意味です。布袋に錐を入れると、尖った先端から袋を突き破って出てきてしまいますね。そのことを指しています。これは中国の司馬遷が書いた「史記」の中の「平原君・虞卿列伝 第十六」に記されている言葉から出た慣用句です。司馬遷は正義を貫き、功名を立てた士民の伝記である列伝を七十篇書いています。平原君(へいげんくん)はその中のひとりで戦国時代の趙の宰相でした。食客を常に数千人抱えていた実力者で、戦国の四君の一人に名を連ねています。この言葉が出てきた場面は、趙の国は存続をかけ、楚の国と連合することを決めます。楚王と話し合いに行くことになったのが平原君です。彼はたくさんいる食客の中から文武に優れた者を二十人選んで連れていくことにし、十九人まで選びましたが最後の一人が思い浮かびません。その時、毛遂(もうすい)という者が立候補しました。平原君は毛遂に「先生は何年ここにいますか」と尋ねると「三年です」との答え。 平原君は「賢明な士が世の中にいるということは、例えば錐(きり)が袋の中にあるようなもので、錐の先が袋を突き破って現れ出るように、すぐにその才覚が見えるものでです。しかし、先生はここに三年もいらっしゃるが、私の側近はあなたを褒めたこともなく、聞いたことがない。これは、能力がないからだ」と。毛遂は「私は今日初めて袋の中に入れてくださいと頼んでいるのです。もし早くに袋の中に入れて下さっていれば、柄(え)まで突き出していたことでしょう。錐の先っぽが見えただけでは済まなかったでしょう」と答え、平原君は連れていきます。そして毛遂の働きで楚王は趙と同盟を結ぶのです。平原君は自分の人を見る目のなさに落胆し、毛遂を厚遇しました。という話です。「嚢中の錐」は逸話としては面白いですが、あまり使う場面のなさそうな言葉ですね。

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願ってもない

【漢字】願ってもない 【読み】ねがってもない 【意味】願っても叶いそうにない事が運良く起こる。 【例文1】彼女に会えるなんて願ってもない絶好のチャンスが訪れた。 【例文2】願ってもない条件がぴったり合う男性に出会えた。 【例文3】願ってもない大企業に就職が決まる。 願ってもないとは、「願っても実現しそうにないことが、願い通りになってありがたい」という意味です。願ってもないが使われる状況は、二つあります。まず一つ目は、ずっと願ってきたことが実現したということです。もう一つは、思いがけず好都合の事態になったということです。一つ目は喜びの度合いが途方もなく大きいという点がポイントです。二つ目は事前に予想していなかった好都合とか絶好のチャンスといった感じがあるのがポイントです。 一つ目の類語としては、願ったりかなったりの、理想どおり申し分のないなどがあげられます。二つ目の類語としては、絶好の、格好の、うまい具合の、当都合のなどです。 途方もなく大きい喜びに使われる「願ってもない」は、それまで希望してきたこと、夢に見てきたこと、追い求めてきたことが実現したということです。使われる事例としては、会社で長年希望してきた異動先への異動が実現したとか、オリンピック出場を目指して長年頑張ってきた選手がそれを実現させた場合などがあげられるでしょう。予想していなかった場合の事例は、親が外出しているからテレビゲームを長時間できるとか、ドラマや映画で泥棒が侵入した際に、しめしめぐっすり眠っているという場合です。 願ってもないと「ない」という否定語がつきますが、これはポジションな意味合いであることが面白い言葉です。

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糠喜び

【漢字】糠喜び 【読み】ぬかよろこび 【意味】喜んだのもつかの間、のちに当てが外れガッカリする様子。 【例文1】福引券が当たって喜んでいたら期限が切れてぬか喜びする。 【例文2】連休の計画を立てていたら、仕事が入り糠喜びだ。 【例文3】素敵な女性だと期待したが、既婚者で糠喜びする。 「糠喜び」させる宝くじ 一段と冷えが厳しくなってくる12月といえば、いろいろなイベントや行事が開催されたりしますよね。クリスマスをはじめ、大晦日や年末年越しライヴ等の多くのイベントが開催されます。その中で年末の恒例のイベントとして、宝くじの「年末ジャンボ宝くじ」が開催されています。一等賞金と前後賞合わせて10億円と高額で、宝くじに夢を抱き、当選を夢見て宝くじを購入する人も多いでしょう。 私自身も「年末ジャンボ宝くじ」を毎年購入し、宝くじに夢を乗せています。しかし、この年末の宝くじ「年末ジャンボ宝くじ」は私をよく糠喜びさせる悪い奴でもあります。私は当選番号を新聞で確認するタイプの人間であり、当選番号を確認する時によく番号を見間違い当選したと勘違いし、糠喜びすることが多くあり、後で再度確認すると間違いだったということが分り、がっかりしたりすることが多くあります。 ところで、この「糠喜び」という言葉は、玄米を精白する時に生じる「糠」から出来、その形状から近世頃から「細かい」「ちっぽけ」という意味で用いられ、さらに、「はかない」「頼りない」等の意味を持つようになり、一旦喜んだ後、実はあてはずれでがっかりするようなはかない喜びという意味となったそうです。 宝くじも儚いもので、実は購入してから当選を夢見て待つ当選番号発表までの期間が一番楽しいのかもしれませんね。

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二階から目薬

【漢字】二階から目薬 【読み】にかいからめぐすり 【意味】二階から目薬を指すのはとても難しいことから、物事がうまくいかず、そのうえ効果がないことをいう。 【例文1】借金が200万に膨らんでしまった。友人に5万円借りたところで二階から目薬だ。 【例文2】仕事を増やしても睡眠時間が減るだけで生活は二階から目薬だ。 【例文3】パワハラ職場は、異動だけでは二階から目薬だ。 二階から目薬を指しても目に入るはずもなくうまくいかないことを言います。 私には心の支えになるシンガーソングライターがいます。 私は毎晩、毎朝彼らの歌を聴いて元気をもらいます。彼らの活躍は見逃しません。出演するドラマやラジオはできるだけ逃さないようにしています。 彼らの素敵なところはファンの私たちをファンと思わず、身近な存在として大事にしてくれ素敵な歌を届けてくれるところ。感謝を忘れないところ。出演しているテレビやラジオを視聴していると、同級生の話を聞いているんじゃないかなと思うくらいに素直に笑うことができるしとても身近な存在に感じます。 しかし、彼らは私だけの彼らではないのが現実です。私のように、彼らを身近に感じ大好きと思っているファンは大勢いるわけです。 私は彼らのことがとても好きですが、一度も生歌を聴いたことがないのです。ライブという場に行ったことがないのです。ライブハウスでのライブなんて夢のまた夢。行ってもっと身近に彼らを感じたいのに、ライブに行くことができません。ライブはなるべく応募しているのですが、住んでいるところの周辺の都道府県しか応募ができません。できればどこまででも追いかけたいのですが、休みの関係や金銭面の関係で限られてしまいます。応募しても当たらない、とてももどかしい気持ちです。 「二階から目薬」とは「二階に居る人が階下のひとに目薬をやるように遠すぎて効き目のないこと。思うように効果の出ないこと」で京都系のいろはかるたに載っている慣用句です。また、「天井から目薬」も同じ意味の言葉です。思うような効果が出ないことは当事者になれば大変な苦痛です。「二階から目薬かもしれませんが」と自分から提案するのは謙遜の意味あいも込めて使う場合はともかく、「それは二階から目薬だろう」と上司から叱咤されればへこみますね。でもその言葉から別の突破口が開けることもありますから真摯に受け止めるべき言葉ではあります。少し話はそれますが、鳥取県の名産の「二十世紀なし」は千葉県松戸市で発見された品種です。大きな梨農家の広い畑の隅に一本だけ違う種類の梨が生えていました。その梨を見た農家の主人はこれから二十世紀を担う梨だと「二十世紀なし」と名前をつけて育てます。ところが上手く育ちません。肥しを替えても、土壌改良に励んでもうまくいかないので途方に暮れているところへ鳥取県から梨の視察に来ていた人たちがその梨の木に興味を持ち、鳥取に苗木を持ち帰り育てたところ、すくすく育ち、大きな実をつけるようになりました。そして鳥取県は「二十世紀なし」の名産地となったのです。松戸市には「二十世紀」の地名が残り今でもそこが発祥の地であることを示しています。「二十世紀なし」にとれば、松戸の農家が懸命にやった対策は「二階から目薬」だったかもしれませんが、あきらめて切り倒してしまえば今の梨はなかったのです。

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内助の功

【漢字】内助の功 【読み】ないじょのこう 【意味】夫の活躍を陰でサポートする妻の功績をいう。 【例文1】私が執筆に専念できるのも内助の功のおかげだ。 【例文2】家族が健康でいられるのも栄養管理をしてくれる内助の功に感謝。 【例文3】妻は内助の功の鏡だ。 外で働く夫の為に留守の家庭をしっかり守り、良き妻として夫を影となり支える妻は精神的そして肉体的にも、まさに縁の下の力持ち的存在です。 この「影」という所が内助の功としての一番のポイントです。手当たり次第、食事、洗濯等、夫の身の回りの世話を焼けばいいというものではなく、夫を内面から支えて経済面、精神面、健康面で表に立たず夫をサポートし帰宅した家庭で気持が和む空間作りも大切です。 経済面の事では、家計のやりくりです。収入に見合った身の丈の生活をし、支出を抑え少しでも貯金に回し急な出費にも対応できる事が経済的内助の功です。 精神面の事では、仕事の悩みやプライベートの悩みを隠さず打ち明けやすい雰囲気作りを普段から心がける事です。悩みのアドバイスも必要ですが先ずはじっくり聞き役に徹して夫の気持に寄り添う事「どんな事があっても私だけはあなたの見方だから」という言葉で救われるはずです。 健康面の事では、夫の健康管理です。人間、何をするにも健康な体があってこそ、体が資本です。毎日の食生活を中心に体調を影でそっと見極める事が重要です。 そして、夫も時には妻への日頃の感謝の言葉を忘れないでほしいです。「空気の様な存在」では夫婦関係は破綻します。夫の妻への労わりの気持を持つ事によって、 お互いを思いやり家庭円満からの生活の安定にも繋がると思います。 「内助の功」は「内部から与える援助、特に妻が家庭内で夫を助けることによって功績が上がること」です本来は。というか昔はそうであったと思います。よくノーベル賞を受賞した方の奥様や、お嬢様による内助の功により、研究に時間と労力と情熱を捧げることができて、研究成果に繋がったという話が新聞紙面を賑やかせます。その通りだと思います。良妻賢母の奥様の苦労ありきでなければ、家庭を持つ男性が研究に心血を注ぐことなどできません。同様に、最近では女性の社会進出が目覚ましいので、逆のバージョンもアリだと認知されてきています。一番話題になったのは宇宙飛行士の向井千秋さんです。彼女は、やはり宇宙飛行士を夢見ていたご主人と結婚し、千秋さんが宇宙飛行士の訓練生になると、ご主人の全面的なサポートを受けて、念願の宇宙飛行士になりました。宇宙からご主人にメッセージを贈る姿がテレビで話題になりました。その後、女性宇宙飛行士がだんだん増えて、「内助の功」を発揮するご主人にもスポットが当たるようになりました。この頃では「内助の功」は野球の捕手に贈られることが目立ちます。野球のバッテリーはキャッチャーが女房役として位置づけられ、うまくピッチャーが押さえて加点されずに済むと、キャッチャーの球種判断が良かったことも「内助の功」を奏した、などと表現されます。「内助の功」が妻限定だった時代は昔むかしになりましたね。

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