tedukurikotoba (2563)

けんもほろろ

【漢字】けんもほろろ 【読み】けんもほろろ 【意味】人の頼み事を断る。 【例文1】友人が多額のお金を借りに来たが、けんもほろろに断る。 【例文2】時と場合にもよりけんもほろろだ。 【例文3】無理なお願いでけんもほろろ。 「けんもほろろ」という言葉は学生時代に経験しました。 私は大学1年生の時に教養学部で授業を受けていて、順調に単位を獲得していました。2年生の前期に入ってから専門学部の授業が4科目あり、その日が火曜日でした。 火曜日はアルバイトをお昼から入れていたこともあり、2科目しか受けることができませんでした。そして前期の試験が終わって、その専門学部の授業のひとつは単位が取れましたが、もう一つは取ることができませんでした。教養学部の単位はすべて取っていたのでその時は進級ができると思っていました。しかし現実は専門学部の4科目のうち、2科目の単位を取得しないと進級ができないという決まりがあったのです。 そして慌てた私は落とした科目の教授の部屋に直談判に行きました。しかしそこでは教授の部屋に入ることすら許されませんでした。進級できないということは1年間の留年を意味します。せっかく大学に浪人せずに入学できたのに、留年すると親からの仕送りもストップする可能性があります。 再度、教授の部屋に行きました。 そして教授は「駄目なものは駄目!」の一言でした。 「けんもほろろ」という言葉を実感した瞬間でした。 今から思えばあのことがあるから、社会で働きだして「けんもほろろ」な出来事に打ち勝つことができたかもしれません。 でも本当は経験したくない言葉ですね。 人から頼みごとをされた際、けんもほろろな態度をとってしまうことも、ときにはあるでしょう。イライラしているときや焦っているときに他人から頼みごとをされても、快く引き受けるのは難しいと思います。 ですが相手の頼みごとを冷たい姿勢で断ると、あとあと冷静になったときに思い返して、相手に悪いことをしたと後悔する人も多いことでしょう。とは言えどんな頼みごとに対しても、いつも快く引き受けた方が良いとは決して思えません。なぜならいつも何でもかんでも頼みごとを引き受けていると、それがストレスとなって、心身に悪影響を及ぼす可能性があるからです。こうなってしまうと、頼みごとを引き受け過ぎた過去の自分を叱咤したくなるかもしれませんし、周りの人だって頼みごとをしすぎてしまったと後悔することになるかもしれません。ですからどうしても無理なときは、たとえ冷たい態度になってしまっても、相手の頼みごとを断る勇気が必要と考えられます。 しかし相手の頼みごとを冷たい態度で断った後は、きちんと相手の気持ちをフォローすることも大事です。でなければ相手との関係が悪くなってしまう恐れがありますからね。頼みごとをしてきた相手に、断った理由を述べて詫びを入れれば、相手も理解してくれるでしょう。

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口車に乗る

【漢字】口車に乗る 【読み】くちぐるまにのる 【意味】口先だけの言葉に騙される。 【例文1】訪問販売の口車には乗らない。 【例文2】自分は大丈夫だと思っている人が口車に乗る。 【例文3】儲け話の口車に乗る。 今までの人生で『口車に乗る』経験をしたのは2回あります。1回目は30歳の時にニッセイの保険外交員によってです。当時の私は保険には何の興味も示さず、保険関係の契約には一切加入していませんでした。 しかし当時の私の職場に頻繁に訪問してくる女性外交員の方がいて、事務所内の職員に片っ端から声を掛けていました。そしてある程度仲の良くなった者に保険の説明を始め、美辞麗句を並べては保険のシステムを誇張し、契約を迫るというやり方でした。私にもその矛先が来て、その半ば強引なやり口に根負けしてしまい、貯蓄型の個人年金保険に加入してしまいました。 2回目はつい最近の事で、ネットビジネスの勧誘に乗せられてしまいました。ある副業サイトで何か固定の仕事を探していた際に、コツコツやれる仕事という文句に惹かれて応募してみたら、よく分からない内にラインに誘導され、そして考える間も与えられず説明会に行く羽目になってしまいました。 その説明会では、そのネットビジネスで一定の成功を収めたと思われる女性が、そのシステムの説明をしていました。この時も早口で儲けのからくりの仕組みをいかにも画期的なシステムとばかりにまくし立てていました。そして考える余裕すら与えられず出資金19万円を払う羽目になってしまいました。今思えば相手を唆してねずみ講の上に上っていくだけの類いのものでした。 私のこの二件の体験談からも明らかな様に、相手の『口車に乗る』場合というのは、相手が非常に口が達者で考える暇も与えさせず、かつ、自分がその分野に多少の興味を示しつつも知識が乏しい場合に起こる傾向が強いと言えるでしょう。

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気がない

【漢字】気がない 【読み】きがない 【意味】関心や興味がない。 【例文1】彼は何をするにもその気がない。 【例文2】綺麗な女性にしか気がない。 【例文3】その気がないのにじらす。 「気がない」とは「関心がない、恋い慕う心がない」ということです。この言葉で連想されるのは「堤中納言物語」に出てくる「虫めづる姫君」です。この時代の位の高い家の娘は通い婚でしたから、几帳の中にひっそりと居て、和歌をたしなんだり侍女と貝合わせに興じるなどし、お香を焚いた着物をまとい、眉毛を抜きお歯黒で歯を染めて、夫の来るのを待つというのが日常でした。ところがこの物語の主人公のお姫様は、眉毛はぼさぼさでお歯黒も塗らず、虫を観察するのが趣味であり、中でも一番好きなのは毛虫。侍女は寄り付かず、身分の低い男の子が世話係をする始末です。両親は娘がそういう風では先々を心配しています。何しろ通ってくる夫君がいなければ家が絶えてしまいますからね。それでも姫様は一向に「気がなく」、毛虫が羽化する様子を観察することが、どれほど大事かを説いてきます。挙句の果てには「鬼と女とは見えない方がいいのよ」などと利口ぶった口を利くので、両親は困り果てているのですよというお話です。変わり者のお姫様の単なるうわさ話として書かれているこの話が、現代まで古典の教科書に載っているのは、当時の習俗や考え方がわかることと、世間的な常識からは逸脱しているけれど、このお姫様は只者ではないのではとも読み取れるところが楽しい話だからでしょうね。

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顔を貸す

【漢字】顔を貸す 【読み】かおをかす 【意味】人から頼まれて人に会う。人前に出る。 【例文1】ちょっと顔を貸してくれない。 【例文2】後援会に顔を貸す。 【例文3】ゲストとして顔を貸す。 「顔を貸す」とは「頼まれて人に会ったり、人前に出たりすること」です。よくテレビで見かけるのは地方選挙の応援演説に、支持政党の政治家が、その選挙区まで足を運び、候補者のために「顔を貸す」場面です。また、落語や時代劇でも「顔を貸せ」というセリフを聴きますが、大抵の場合、不穏な事件が起こりそうなときですよね。落語では店子が何か問題を起こし、大家さんが出てきて事を納める時に使われる言葉です。この「顔を貸す」行為は結構効き目のあることで、かの新選組でも、同じ志を持った者同志の集団であったにもかかわらず、まとめ役でしかなかった近藤勇が他の者を手下のように扱うという行動が散見され、それを問題視した土方歳三が、郷里の後援者に手紙を出し、講演会の人が京都に上洛した折に話しあいの場を設けて、近藤勇をたしなめてもらっています。これが近藤勇にも効果があったのでしょう、鬼の副長と呼ばれた土方歳三は、大事な場面において時々、この方法を使っています。お金の貸し借りにおいてもめた商家などにも、経理担当者に任せるのではなく、自分と局長の近藤勇の二人で出向き、事を納めています。しかし、近藤勇が勤皇方(官軍)に捕縛された時にも支援者の中でも有力者に頼みますが、努力の甲斐なく斬首になってしまいました。

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臆面もなく

【漢字】臆面もなく 【読み】おくめんもなく 【意味】遠慮した様子もなく図々しい者。 【例文1】臆面もなく並んでる列に割り込んでくる。 【例文2】彼は臆面もなくよく食べる。 【例文3】臆面もなく手ぶらで来訪する。 「臆面もなく」とは「気おくれした顔面、様子がちっとも感じられない」ことです。この言葉で連想されるのは夏目漱石の「坊ちゃん」です。主人公は単純明快な青年で、四国松山の中学校の数学教師として、東京から赴任します。初めての土地、初めての教職ですが、江戸っ子気質を武器に生徒たちと向き合います。ただし、田舎町では新参者が珍しいこともあり、先生の動向を生徒たちは逐一知り、共有しては黒板に書いてからかってきます。それもこの坊ちゃん先生のことが気に入っているからこその行動なのですが、本人は気が付かず、只々生意気な生徒たちが、元気を持て余してかまってくるぐらいにしか思っていません。田舎に来て、知り合いもいない解放感から、運動のためにと人がいないのを見計らっては毎日のように銭湯で泳ぐ彼。ある日、墨黒々と「泳ぐべからず」と書いてあります。そして次の日の朝、教室の黒板に「湯の中で泳ぐべからず」と書かれています。まるで生徒に見張られているようだと驚きながらも、銭湯で泳いだことに反省するでもありません。そして文字通り「臆面もなく」淡々と授業をこなしていきます。生徒たちはその後もからかい続けますが、次第に両者に信頼関係が生まれます。

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