【漢字】目と鼻の先 【読み】めとはなのさき 【意味】目と鼻の間が近いように距離が非常に近い。 【例文1】駅から目と鼻の先の優良物件を探す。 【例文2】学校までは目と鼻の先だ。 【例文3】両親とは目と鼻の先に住む。 仕事に失敗し、上司に怒られ、会社内での自分というものを失いそうになっていました。毎朝出勤はするのですが、足取りは重く、会社の玄関の扉を開けるのに深く深呼吸してから開けるほど、精神的にも参ってしまっていました。そういう時は、何をやってもうまくいかず、気力も伴ってこないため、小さなミスも目立つようになってきました。何のために会社に来ているのだろう、どうしてここまで無理してくる必要があるのだろう、いっそ逃げ出してしまえば楽なのに。とネガティブな感情ばかりが前に出てきます。そうした雰囲気に妻も気づいたのでしょう。いつもであれば何気ない話だろうと、つまらなくても話を振ってくるのに、明らかにその回数が減りました。いつもなら喧嘩しそうになりながらも、やることを押し付けてくるのに、そういったものもなくなりました。 ある日、妻から公園にランチを持っていこうと誘われました。あまりノリ気ではなかったのですが、半強制的に連れて行かれました。気力なく、積極的に動こうとも思っていませんでしたので、小説を持って出かけました。私はそれを読んでいたのですが、ふと妻と子を見たときにとても楽しそうに無邪気な笑顔で動き回っていました。しばらく見とれてしまいました。そうだ、私の幸せなんてものは目と鼻の先にあるんだ。これを守るために生きているんじゃないか。こう思ったときに視界が開け、いてもたってもいられなくなり、二人の輪の中に飛び込んでいました。 非常に近い距離、つまり考えるまでもなく近いと言える距離にあってこそ「目と鼻の先」と表現できるのではないだろうか。 実際に「目」と「鼻の先」の距離を自分で測ることは大して難しくない。 目を閉じた状態で目蓋から鼻先までを指で測り定規に当てるだけで分る。 顔の大きさなど個人差もあるがおよそ10センチくらい、さすがにそのままでは誇張表現というか近いとか距離と言えるものではない。 10センチ圏内にまで到達していれば、それは既に到着しているのと同義だろう。 移動時間で誰かを待たせることが無い、あるいは複雑な道順も無い短距離の移動で到着するならば、目と鼻の先と表現して差し支えないだろう。 さらに条件を付け加えるとするならば、間に障害物などが存在しないことが挙げられる。 鼻の先、つまり自分の鼻の天辺を鏡などを使わずに肉眼で視認することは出来そうに無いが、とりあえず障害物は存在しない。 しかし海峡を隔てた島もこの条件を満たしてしまうことがあるので、何の問題もなく受け入れられるか否か少し疑問が残る。 航路や空路が存在して船や飛行機で一直線ならば許容できるが、交流が微妙な異国人が住む土地であればどうだろう。 逆に考えれば敵対する存在が視認できる位置にあるならば、これは十分に目と鼻の先という感覚に当たるかもしれない。 結局のところ距離は移動時間・移動手段やその他の条件により近くとも遠くとも成り得る。 最終的にはその立場におかれた人間の漠然とした感想に帰結するものでしかないのだろう。
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