tedukurikotoba (2563)

邯鄲の夢

【漢字】邯鄲の夢 【読み】かんたんのゆめ 【意味】人生はかないものである。栄華が想いのままになるという枕を借りて寝たところ、立身出世を極めた夢だったが、実際はお粥も炊けていない程の短い夢だった。「枕中記」の故事より。 【例文1】彼の人生は邯鄲の夢だ。 【例文2】天涯孤独で邯鄲の夢だ。 邯鄲の夢という故事では、人の一生は飯炊きの合間のうたた寝で見る夢のように儚いということを述べています。 堅苦しいと思われがちな中国の故事ですが、私たちの生活に落とし込むと毎日をよりよく過ごすヒントが隠れています。 この邯鄲の夢からは、人と比べることのばかばかしさを感じ取ることができます。自分より美人な友達の人生も、自分より出世している同級生の人生も、そして自分の人生も皆同じように夢のように消えてしまう一瞬のものなのです。人と比べて辛くなるのは、自分の人生も他人の人生も重要視しすぎているからです。 壮大な自然や、地球、はたまた銀河系、宇宙の長い歴史を思えば、人生などチリや煙のようなものです。こっちのチリよりあっちのチリが良い、とイライラしているのはばからしいでしょう。それと同じで、自分と他人を比べるのは無意味なのです。 それでは邯鄲の夢は人生を軽視しているかと言えばそうではありません。容姿、資産、家柄などを比べて相手の方が良く思えても栄枯盛衰で一瞬のことなので、嫉妬して気に病む必要はないということを述べているのです。また、一瞬のことだから肩の力を抜いて毎日をごきげんに過ごしていこうとも読み取れます。 私の元上司にとてもすごい方がいます。若い頃は営業で常にトップの成績を獲得し、その後は海外支社に行くという王道の出世コースに乗りました。日本に帰ってきてからは大きな事業を担当することとなり、部下への配慮もバッチリ。何か困ったことがあったらまずはその上司に相談するというのが当然の空気になっていました。他の上司や先輩に相談しても解決しないことが多く、結局二度手間になっていたからです。結果上司の負担は増えていったのですが、それもサラリとこなしてしまうのです。 その上司が更に昇進した後、引き継いだのが私と仲の良い先輩でした。わりと地味なタイプの先輩だったのですが、超ド派手な上司の後釜に入ったので勘違いをしてしまったんですよね。上司が仕事を確立させた上での引き継ぎだったので内容の重さは全然違いますが、あの凄い人の後釜に入ったとちょっと噂になったのです。 もちろん先輩も鼻高々、いなくなった上司の代わりに先輩を頼る方が増えました。しかし、栄枯盛衰は儚いもの。元々実力があるわけではない先輩に対して幻滅する人が増えてしまったのです。その後は結局上司の影響が大きすぎたのだと考えを改める人が増えましたが、先輩はまさに邯鄲の夢を体験したのでした。

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犬も食わない

【漢字】犬も食わない 【読み】いぬもくわない 【意味】何でも食べる犬でさえ興味がない。 【例文1】夫婦喧嘩は犬も食わない。 【例文2】喧嘩しても犬も食わないからすぐに仲直りするだろう。 昔から、男女の仲を表現した言葉はたくさんありますが、時代が変わっても、変わらないことの数少ない一つだと思います。私は、ただのお節介なのか、よほど人が良いと思われているのか、よく「夫婦喧嘩の仲裁に入って欲しい」と頼まれます。若い頃は、どんなに仕事が忙しくても、睡眠時間を削って、友人の話に真剣に耳を傾け、どうすれば、夫婦仲を修復できるか一緒に考えたり、家を出て、私の家に転がり込んできた友人には、傷ついているだろうからと、食事を作り、気が済むまで何日でも泊まっていけば良い、と言い、ゆっくりくつろげる場所として休んでもらったりしていました。多くの友達が、そうして私の家に泊まりにきていましたが、大体、2、3日もすれば、落ち着かなくなるようで、夫と連絡を取ったり、夫が仕事で留守中の自分の家で、喧嘩をしているはずの夫に料理を作っておいてきたりしているようで、最初に家を出てきた時の勢いは、ほとんど感じなくなっています。そういう時に、必ず頭に浮かぶ言葉が、『夫婦喧嘩は、犬も食わない』です。ごくまれに、家出から離婚話に発展することもありますが、大抵は、元の鞘におさまるので、喧嘩の度に巻き込まれる私は毎回やれやれといった感じです。 犬も食わないという状況は、夫婦喧嘩や恋人同士の喧嘩に例えられることが多くあります。誰も見向きもしないという意味で使われるので、犬でさえ興味がなくなると言われています。街中で喧嘩しているのを見ても、関わりたくないから犬も食わないというのはたまに見ることがあります。では、犬を飼っている家庭で本当に夫婦喧嘩をすると犬も食わなくなるのかというと、最初のうちは吠えまくります。ワンワン吠えてるのを言葉にすると、「喧嘩しないで」と吠えてることが多いようです。飼い主が喧嘩していると犬は不安に思ってしまうようで、喧嘩が終わるまでずっと吠えていることがあります。しかし、毎度のように夫婦喧嘩をしているとわかってくるようで、犬も食わないかのごとく吠えなくなってきます。どうせ仲直りするんだから放っておけばいいという状況になってくるのです。仲のいい夫婦ほど犬も食わなくなります。なぜ猫ではなく犬なのかというと、犬は本来なんでも食べてしまう雑食の習性があるからです。日本ではペットとして飼われているので、雑食というより人間に近い物を食べていますが、野生の犬では木の実だろうが、鳥や魚だろうがなんでも食べてしまいます。こうしたところから犬も食わないという諺が使われるようになったようです。

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塩梅

【漢字】塩梅 【読み】あんばい 【意味】物事の加減。程合い。 【例文1】いい塩梅にお腹が空いてきた。 【例文2】いい塩梅の味付けだ。 「塩梅が良い」という言葉は、年配の人が使うイメージがありました。 私の中では昔の人が使っていた言葉という感覚です。 しかし、今でも塩梅は使われているのだろうと思います。 実際に家でも梅干しを漬けていますが、塩加減がちょうど良いとは言いますが、塩梅が良いとはあまり行ったことがありません。 むしろ体調を聞かれて、調子が良い時は、「今日は塩梅が良い」といった使われ方をするほうが多いのかもしれません。 とは言え、私がもし体調を聞かれても、「今日は体調が良いです」または「今日も体調が良いです」というでしょう。 ちょっとした言葉の違いなのですが、塩梅を入れるのと入れないのとでは印象が変わってきてしまいます。 もし、私が「今日は塩梅が良い」と自分よりも年下の人に言っても、中には「?」となってしまう人もいるかもしれません。 それでもこうした言葉を知っているだけでも、もし誰かに言われても理解することができるでしょう。 時代とともに使われなくなっていく言葉もあります。 梅干しも家庭で着けないどころか、塩分などの問題で食べなくなってきているのかもしれません。 しかし、日本の食文化は構成にも伝えていきたいものです。 ちょっと古く感じる言葉が、時には良い塩梅にしてくれることもあります。 梅干しを作る際に塩で締める時、分量の調整を「塩梅」と言います。塩加減が良ければ「塩梅が良い」となり、当然ながら悪いと「塩梅が悪い」となります。総じて、他の状況にも使用する事があり、「しめサバの酢の具合が良い塩梅に仕上がっている」や「良い塩梅に話が進む」などと用途は様々です。梅干し作りの最初の工程で、塩を使って梅を締めるのですが、ここでの塩の分量が梅干しの良し悪しを決める大事な仕事であります。ここをしくじると後での調整は出来ませんので、塩梅の出来が梅干しの出来に直結していると言っても過言ではありません。それだけ大事な行程ですので家庭で梅干しを作る時は、その家の大ベテランが担当する事になります。順当に考えればお婆ちゃんの腕の見せ所になる訳です。梅干しは昔から何かと重宝されるアイテムとして、身近な存在であります。お弁当の防腐剤代わりにご飯の真ん中に入っていたり、胃腸が調子悪い時の薬になったり近年ではお酒の中に入っている事もあります。単体で食すととてもしょっぱいですが、ご飯のお共には最適の食品です。おにぎりの中の具では常に上位をキープする絶対的な存在なのです。そんな梅干しの人気を支えているのは紛れもなく「塩梅」であり、これ失くして梅干しの地位は確立出来はしないでしょう。 中学生のときに家庭科の授業で『塩梅』について教わりました。ざっくり説明すると『料理の味加減』のことですね。しかしこのとき、家庭科の先生からもう一つの意味も教わりました。それは『程よい具合や様子』です。当時の先生が言っていたのは「料理の味加減という意味が派生して、程よい調子のものについて良い塩梅だ、と使うときがある」ということでした。その学期の期末テストにも『塩梅』と書かせる問題があったので、今でも塩梅という単語は印象的です。 ただ今になって振り返ると、先生がテストに『塩梅』を出題したのは、生徒たちが大人になったときのことを思ってだったようにも感じます。もしかすると、家庭科の授業は英語や国語と違って授業時間数が少ないため、他に出題できる問題がなかったという可能性も無きにしも非ずかもしれません。それでも先生が『塩梅』を出題したのは、やはりそれが生徒たちのためになるからだったのではと思えます。 現に大人になってからも『塩梅』という単語を使うときがあります。それも料理の方の意味ではなく、派生した方の意味ですね。むしろ料理に関することで使う方が少ないくらいです。ひょっとして元々の意味の方は薄れてきているのではと訝しんでしまうほどです。中学生のとき、家庭科の授業できちんと『塩梅』について学んでおいて良かったと思いますね。

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人口に膾炙する

【漢字】人口に膾炙する 【読み】じんこうにかいしゃする 【意味】なますや炙った肉が称賛されることから、世間の人に多く知られチヤホヤされる。 【例文1】小説が売れて人口に膾炙する。 【例文2】ミスコンで優勝して人口に膾炙する。 「人口に膾炙する」というのは、たくさんの人がそのことをもてはやして話題にしていくということによって、広く知れ渡るということだそうです。 「なます(膾)」や「あぶり肉(炙)」が昔はご馳走とされていて、誰もが美味しい美味しいと喜んで食べたということから、こうした言葉が出来上がっています。 これを現代風に言うと、さしずめ毎年ユーキャンがスポンサーとなって開催されている「新語・流行語大賞」が当たるのではないでしょうか。 日本国内でだけ、たくさんの人が口にして使った言葉かと言えば、その年によって違っているようで2016年には世界中を巻き込んで大いに流行した「P・P・A・P」などは世界的に有名になって使われました。 ピコ太郎のようにご陽気で、みんながその言葉を口にすると自然に笑顔になってしまうようなものは素晴らしいのですが、逆にその言葉を口にすると顔をしかめてしまうというようなものはいかがなものか。 「忖度」という言葉も日本中を駆け巡り、海外のニュースなどでも取り上げられるようになったということですが、あまり良い意味で使われていなかったようです。

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気を吐く

【漢字】気を吐く 【読み】きをはく 【意味】威勢がいい。 【例文1】店長に昇格して気を吐く。 【例文2】初出勤で気を吐く。 仕事でとある飲食店チェーンとの付き合いがあります。地元密着型のチェーン店なのですが、やはり不況の風は厳しくどの店舗でも売上が下がってきています。もちろん経営努力もしているのですが、以前からある会社だからこそ大きく何かを取り入れるにはリスクがあります。大手ほど金銭に余裕があるわけではないですし、一番難しいところですよね。そんな中、いつも高い売上を誇るだけではなくアンケートでもお客様満足度は一位、同じ味なのにグルメ口コミサイトの評価も高く、スタッフもよく長続きする店があります。まさに、不況において店長が一人気を吐く店なのです。 この店の特徴は、風通しの良いこと。今日入ってきたばかりの新人でも、店長に意見することが出来ます。というより、店長がこまめにヒアリングをしているんですよね。例えば、トイレ側の席だと逆にトイレの消臭剤の臭いが気になるとか。そこで換気扇を常に回して窓を開け、外から見えない網戸を実費で購入して自分で取り付けたそうです。こうすることによって不快な臭いは窓の外に行きますし、消臭剤も無香料の物に。これは入って一ヶ月の新人アルバイトが指摘したことです。慣れっこになっているとなかなか気付かないとことですよね。

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