tedukurikotoba (2563)

伝家の宝刀

【漢字】伝家の宝刀 【読み】でんかのほうとう 【意味】家宝として代々伝わる刀をたとえとして、いざというときの切り札をいう。 【例文1】会社設立のための隠し預金が伝家の宝刀だ。 【例文2】転職の際は経験という伝家の宝刀がある。 【例文3】進学の際は学資保険が伝家の宝刀だ。 伝家の宝刀というと、どのようなイメージがありますか?その人の得意技、所謂必殺技と思っている人も多いかと思います。現在の日本語としては、あながち間違っているとも言い切れない状態になっているのですが、実は間違いです。 本来の意味は、「奥の手」が正しい意味で、由来としては「先祖代々、家に伝わる名刀」だとされています。そんな刀を常時使用して戦うことなんて考えられないですよね。つまり、「最後の切り札」「とっておき」ということになるのです。 現在の必殺技的なイメージも、「黄門様の印籠」で例えるなら、別にむやみに印籠を出すことは無いですよね。最後の最後に取り出して、「ははー」となって終わります。一話単位で見ると、確かに「伝家の宝刀」でも良いかもしれません。 しかし、毎週やってますよね?もう「お約束」というやつです。そうすると「お馴染みの必殺技」感が出てしまい、上記の誤用に繋がったのだと思います。因みに誤用と言えば「天下の宝刀」という物もあるそうなのでご注意ください。 野球のピッチャーの得意球に対しても使われますが、本来は「伝家の宝刀を抜く」が正しい形で、「『大事な宝(=伝家の宝刀)』を使わざるを得ない」を示します。つまり、投球に何らかの制限があり、滅多に使えないなら間違いではないですが、そうでなければ誤用ですね。 「確信犯(正しくは故意犯)」のような、誤用がまかり通ている言葉なので、注意して使っていきたいですよね。 伝家の宝刀というのは、最後の最後までとっておくべきです。というのも、誰がどんな切り札を持っているか分かりませんからね。いきなり伝家の宝刀を使ってしまっては、もう武器はない状態になってしまう、とも言えるでしょう。 たとえば自慢げに「自分は〇〇大学を出ている高学歴だ」と触れ回っている人がいるとしましょう。多くの人からすれば、確かにその〇〇大学というのは、高学歴ともいえる大学かもしれません。ですが日本にはいくつも大学がありますし、きっとその『〇〇大学』よりも高学歴と言われる大学は存在すると考えられます。それに「自分は〇〇大学だ」と自慢していて、相手が実は自分よりも高学歴だった、なんてことになったら、恥ずかしい思いをするでしょう。能ある鷹は爪を隠すとも言うように、本当に実力を持つ人は、自ら自分の強みをさらけ出すようなことはしません。 それに最初から伝家の宝刀を出しているということは、常に武器を振り回しているような状況です。傍から見ると、みっともない以外の何物でもないのではありませんか。それに本来『伝家の宝刀』というのは、とっておきの最後の切り札としてとっておくべきです。切り札を最初から出すのは、格好悪いように思えます。

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短気は損気

【漢字】短気は損気 【読み】たんきはそんき 【意味】短気になると結局は自分が損する羽目になる。 【例文1】イライラして物を壊しても、後で出費がかさむだけで短気は損気だ。 【例文2】イライラすると短気は損気でミスをする。 【例文3】一旦落ち着いて、短気は損気だよ。 以前、美術を教える学校で事務員として働いていたことがあります。生徒からはいろいろな話を聴くのですが、そこでちょっとこの先生はどうなんだろうと思うような方がいました。 その先生は、他の美術系の学校でも教師をしている、比較的ベテランの男性でした。ふだんはあまり表情をかえることはないのですが、穏やかなイメージの方です。自分のことを名前で呼んでいるので、生徒がそれを面白がってものまねしていることもありました。ですから、一見人気があるユニークな先生という感じがしたのです。 でも、あるできごとを生徒から聞いて驚きました。その生徒は、課題で出ていた作品に色を塗るときに画材の選び方を間違えてしまって、塗りがぐちゃぐちゃになってしまったみたいなんです。締め切りが来てしまい、みんなの前で作品を提出したときに、例の男の先生は最初周りの生徒と一緒にその失敗を笑っていたそうなのですが、突然表情が真顔に変わって、「こういうことをしていると、夢が叶わずに夢で終わることになるぞ」と怒ったように言い放ったそうなのです。 その先生はそうやって急に怒ることがあるそうなので、生徒たちからは「情緒不安定」と陰口を叩かれていました(笑)。短気は損気ですね。

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雌雄を決する

【漢字】雌雄を決する 【読み】しゆうをけっする 【意味】きっちり勝敗をつける。 【例文1】どっちが彼女にふさわしいか雌雄を決する。 【例文2】どちらが有能か雌雄を決する。 【例文3】売上金額で雌雄を決する。 勝負事の勝敗が決まるときに「雌雄を決する」と言うことがありますが、どういったことが由来になっているのでしょうか? これは雄と雌の区別をはっきりさせられれば、どっちが勝つか?なんていうのはすぐに分かるといったことが由来になっています。 つまり、雄と雌では雄の方が基本的に強いという前提があるので、両者が戦っているときに、どっちが雄で、どっちが雌か?が分かれば、どっちが勝つか?ということが簡単に判断できるということなのです。 雌雄を決するというのは雄と雌の区別をすることであり、それが勝負における勝敗を決めることと同義であるという意味になります。 現実的には雄と雌で雄が必ずしも強いとは言えないですし、人間においてもどの男性とどの女性を戦わせるか?によって勝敗は変わりますから、雌雄を決するの由来がそのまま現実に適合するわけではありません。 だから、一般論としては全く言えないということではないものの、雌雄を決するの元々の由来となっていることは確実なことではないということは知っておくと良いと思います。 日常の中で雌雄を決するという言葉を使うケースというのはそう多くはないかもしれませんが、何が由来になっているのか?くらいは知っておくと良いのではないでしょうか?

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胡麻を擂る

【漢字】胡麻を擂る 【読み】ごまをする 【意味】気に入られるように媚びる。 【例文1】パパに胡麻を擂る。 【例文2】先生に胡麻を擂る。 【例文3】監督に胡麻を擂る。 私は私立高校に通っていたのですが、そこの美術系の学科にある女の子がいました。その子は現役で入学してきた人よりも一つ年が上で、詳しい事情はよく知らなかったのですが、中学にきちんと通っていなかったために高校への入学が遅れてしまったということでした。でも、その子は先輩ぶったりすることもなく、普通に周りの子と仲良くしていました。 しかし、その子はふだん嫌いな子に対する態度が悪すぎるだけでなく、憧れの先輩たちに対しての胡麻を擂る態度が露骨で、おまけに自分だけが悲劇のヒロインぶっているような話が多いので、だんだんそばにいるとうんざりしてくるようになりました。私も裏で散々悪口を言われましたが、注意しても「チクったヤツが悪い」と開き直るありさまでした。 そんなある日、その子が突然、「お金が足りないので学校を辞めます。家族のために仕事をします」という宣言をしました。自分の家が家族が多くて大変なこととか、自分が目標にできるような先生がこの学校にいなかったとか、いろいろ理由を並べていましたが、どうでもいいなと思いました。優しい子が「辞めないでほしい」と言ってあげていましたが、その子の本性を知らないのでしょうかね。 「胡麻を擂る」とは、人に気に入られる為に他人にへつらって自分の利益を図ることを言います。由来はすり鉢を使用し煎った胡麻を擂ると粒が割れてすり鉢の溝にはまったり、あちこちにべったりくっつくことから相手のご機嫌をとり媚びている様子に似ていることから用いられた言葉です。片方の手のひらを上に開いてその上で反対の拳を回している動作が胡麻を擂っている動作に似ていることから、よく「あの人これだよな」と言いながらその動作をしている人をよく目にします。この言葉は表面だけ繕っている人に対して使い本当に尊敬する人には使いません。例文として「あの人は上司に胡麻を擂るのが上手だから出世するのが早い。」「彼は胡麻を擂るのが下手だから嘘ついているのが見え見えだ。」と言った使い方をします。 私の周りでも上司には胡麻を擂って部下には偉そうな態度ばかりとる人がいます。そのような胡麻の擂り方をする人は誰からも良いようには思われず、逆に嫌なイメージばかりがついてしまっています。上司もこの人は胡麻を擂っていると勘付いているので、それが理由で出世は遠のいています。人に良いように思われる為に胡麻を擂ることはいいことではありません。胡麻を擂らずに自分をアピールできるようにしたいものですね。

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きまりが悪い

【漢字】きまりが悪い 【読み】きまりがわるい 【意味】相手に合わせる顔がない。 【例文1】上司の誘いを断って彼女とデート中、上司と遭遇して決まりが悪い。 【例文2】嘘をついてきまりが悪い。 【例文3】名前を間違えて決まりが悪い。 きまりが悪いというのは「他に対して面目が立たない。恥ずかしい。」という意味なので、日常生活においていくつかあります。例えば道で知らない人に会ったときに、声をかけられたものだと思って笑顔で返事すると、実は後ろの人だったということがありますが、こうしたとききまりが悪くて恥ずかしい思いをします。他にも先日、マンションのベランダに上の階の住民の洗濯物が落ちてきて、手すりにかかっていました。きまりが悪そうにうちに訪れて洗濯物を取って欲しいと言ってきたことがあります。お礼にリンゴを3つもらいましたが、もらったこっちもそれぐらいのことでお礼を言われて、きまりが悪い思いをしました。勘違いして怒ったときもきまりが悪いことがあります。自分がした事なのにそれを忘れて、その人に対して怒ってしまうと、あとで気がついて謝りたくても恥ずかしいので知らないふりをすることがありますが、そうしたとききまりが悪くなります。子どもに説教したあとでも、自分が同じ過ちをして子どもに笑われてしまうことがあって、きまりが悪いと実感することもありました。ばつが悪いという表現にも似ていますが、きまりが悪いのはそれより少し軽い表現なのではないかと思います。 電車での話。 わたしがよく利用する駅はとても利用客が多く、電車に乗るのもかなりの行列です。 ホームにはいつでも人が溢れていて、まあ、割り込みたい気持ちもわからなくはありません。 その日は特にホームに人が溢れていました。 電車から降りる人、電車に乗る人、次の電車を待つ人などでごった返しており、ちょうどラッシュ時だったのでいつもの地獄絵図でした。 そこで、来た電車に乗ろうとわたしは先頭で電車を待っており、電車がホームに停車したので開くドアの横の方で電車に乗るのを待っていた時のこと。 その電車から降りる人たちに紛れながら乗る人の列を無視して電車に乗り込む人がいるではありませんか。 20代後半ぐらいの女性でした。OLさんでしょうか。 平然と乗り、自分のお気に入りの席に座って、音楽などたしなんでいます。 わあ・・・まあ気持ちはわからなくもないけど、座りたいなら(始発なので)次の電車まで見送ればいいのに・・・ と思っていると、その割り込み女がキョロキョロ。どうやらこの電車がどこに行くのか確認をしていなかったようで、たくさんの人が電車に乗り込んでおり、確認をするのは困難です。 「きゃー間違えた!これじゃねえわ!」などとイヤホンをしたまま大声でわめき、割り込んでまで座れたお気に入りの席を立ち、周りの乗客に注目されながらきまりが悪い様子で去っていきました。 悪いことは出来ないものですね。

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